第14号
(平成18年7月号)
粉飾決算

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 ある一定の森林が持つ「癒しの効果」を活用し、健康増進に役立てる『森林療法(森林セラピー)』が注目されています。以前から「森林浴」が人体にリラックス効果をもたらすということは言われてきました。しかし科学的裏付けがあったわけではありません。林野庁などは近年森林の持つこの神秘の力に着目し、実際に科学的検証を行い、その効果が優れていると実証された全国の10箇所の森を今年4月「森林セラピー基地」、「セラピーロード」に認定し、国民の健康増進に役立てることとしました。なおこの施設、群馬県にはありません。
 一方都市近郊には、人々にとって「ストレスの対象」となってしまった多くの森林が存在します。林野庁主導による、高度成長期の造林政策に端を発するとも言われているそれは、スギ花粉症という春先のあまり心地よくない風物詩の発信源となってしまっているのです。独自で対策に乗り出した地方公共団体もあるようですが、政府としてのきちんとした対応が望まれます。

 さて最近なにかと話題になっている「(花)粉」があります。粉飾決算のことで、事実と異なる会計処理を行い決算を偽装する行為をいいます。経営者自らが責任を回避するために、自社の株価の操作をするために、また事業活動、官庁関係への入札、金融機関からの借り入れなどを有利に展開するために、花粉ならぬ「偽りの粉」で決算書を飾ってしまうのです。利益を大きく見せるために架空の売上高を計上したり、経費を少なくしたりするのが一般的手法ですが、その結果、ありもしない資産の計上やあるはずの負債の隠蔽も同時に行うことにもなります。なお不当に利益を小さくする行為も粉飾決算の一形態であるといわれています。
 対外的に株主や債権者を騙すという犯罪行為であり、対内的にも以下の通り悪循環に陥ってしまう可能性があります。まず粉飾することにより表面上利益が出ますので、株主配当及び法人税等の課税により、資金が流出します。そうなると更なる借り入れが必要となり、銀行対策から翌期以降も粉飾を繰り返すことになります。毎期確実に利益が出ているかのように見えますが、現実には会社の体力を徐々に蝕み、その存在自体を危うくしてゆくことになるのです。また事実が表面化したときには、会社の社会的信用の失墜は必然となり、更なる衰退を余儀なくされます。
 彗星のごとく現れたIT企業も、老舗の紡績企業も例外ではありませんでした。しかし軽い気持ちで粉飾を行った人はほんの一握りのはずです。日々の重圧に耐え、最終的に苦渋の決断をせざるを得なかった、多くの企業人の心中を察するに忍びありません。

 県内に「お墨付き癒しの森」がないのは少し残念な気がしますが、神秘の力を発する空間は政府認定の森林だけではないはずです。また近郊の森林がみな「ストレスの発信源」であるはずもありません。暇を見つけて時々は自然の営みの中に浸ってみる。森林にこだわらずに、自分だけの「癒しの空間」を探し回るのも面白い。自然の中で汗を流したり、ゆったりとしたひと時を過ごしたりする。ストレス社会に生活する現代人が心掛けたいライフスタイルといえます。

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