「ドラえもん」の登場人物の20年後を実写化したCMが評判です。
国民的人気キャラクターの実写課に思いはそれぞれでしょうが、「ジャンレノがドラえもんですか!!」と驚いた方、結構いるのではないでしょうか。
映画「レオン」では渋い中年の殺し屋を演じ、「グラン・ブルー」では紺碧の深海とのコントラストがとても印象的でした。
ドラえもんが青い理由については諸説あるようですが、CMではアニメに似せ、のび太に、「免許ないじゃん」「頼らないって言ったジャン」とだじゃれを言う姿に、つい微笑んでしまいます。
年内には3作品のみの上映だそうです。

さて、ドラえもんのひみつの道具、「タイムテレビ」は、どんな場所でも、どんな過去や未来でも映すことができます。
戦後数年たったある日の日本にチャンネルを合わせてみると、こんな光景が映し出されるかも知れません。
どこまでも青い空と海。
眺める人達。
その人は尋ねました。
「日本人は青色をどのように感じるのでしょうか。」
日本人は答えました。「青空のようにすっきりとした色、青色はとても気持ちの良い色ですね。」
その人とは、カール・シャウプ博士、青色申告制度の生みの親と言われています。
所得税における青色申告とは、不動産所得、事業所得、山林所得の金額が正確に計算できるように、一切の取引を正規の簿記の原則に従い整然かつ明瞭に記載し、その記録に基づき貸借対照表及び損益計算書を作成することにより申告する方法です。
青色申告には、青色申告特別控除、青色事業専従者給与の必要経費算入、純損失の繰越控除など多くの特典があります。
シャウプ博士は特典を設け、青色申告の普及を勧奨しました。
その目的は、青色のようにすっきりとした気持ちの良い申告により、課税の公平を図る事でした。
青色申告者は特典を与えられ、また正確な損益の把握による堅実な経営も可能となりました。
しかし今日その特典は、課税の公平を害しているのではないか、という指摘があります。
今後、記帳制度の在り方について、十分な議論がされている事を期待しています。

第3話。
タイムテレビに映し出された将来のある日のシーンを見て、のび太は愕然としてしまいます。
すっかり落ち込んだのび太をなぐさめようと、取り出した「どこでもドア」。
ドアの先には海が、しかしそこにはジャイアンが・・・・・・。
病んだ心を癒しに海に行くという行為には、合理的な理由があります。
空や海の青色には心を穏やかに、そして希望を持たせる効果があるのだそうです。
色の効果があったのかどうかはともかくとして、青色申告制度は、税務会計の分野から戦後の日本の発展を支え続けた、希望のひとつであったのかもしれません。

2011.12.01
moritax.com-editor 税務コラム